2008年05月09日

遺伝子を論じた実験手法にまった

▼遺伝子を論じた実験手法にまった

 遺伝子組み換え食品をめぐっても、こうした傾向を感じさせる出来事が起きている。

実験報告書をめぐる論争である、遺伝子組み換え技術によって、

害虫を殺す物質を分泌する機能を付加されたジャガイモを、実験室のネズミに食べさせ続けたところ、
通常のジャガイモを食べさせたネズミに比べ、10日後に、腸の壁が薄くなるなどの変化が表れた。
との報告書がある、その報告書では、このネズミの腸の健康被害は、
遺伝子組み換え品を食べさせたことが原因だ、と結論づけている。

 この実験結果は昨年8月、パズタイ教授が、テレビのインタビューに答える形で発表し、
遺伝子組み換え食品に反対する人々の理論的支柱として扱われるようになった。

だが学会内では、この実験だけでは、ネズミの変化の原因が、
遺伝子組み換え食品であるとは言い切れないと考える人が多く、研究結果を評価したり、掲載する専門誌もなかった。

 
科学的に妥当なことかどうかをめぐる論争に、まだ結論が出ていないということは、
伝子組み換え食品が危険かどうか、まだ分からないということになる。

 危険かどうか分からないので、とりあえず遺伝子組み換え食品に対する表示を義務づけよう、
という考え方は妥当だと思うが、遺伝子組み換え品は危険である、
という言い切りは、現時点では間違っていることになる。

▼遺伝子組み換えが、蝶まで殺してしまう?

 遺伝子組み換え作物の危険性を指摘した著名な研究報告は、もう一つある。
害虫を殺す効果を持たせた「BTコーン」という品種を植えたトウモロコシ畑が増えてきたが、
報告書は、そのコーンの殺虫力が、害虫だけでなく、
アメリカの人々に親しまれている「オオカバマダラ」(Monarch Butterfly)という蝶の幼虫(毛虫)までも殺してしまう、
という内容だった。

 実験は、屋外ではなく実験室内で行われ、殺虫効果があるトウモロコシが出す花粉を、
オカバマダラの幼虫が食べる「ミルクウィード」という植物の葉にふりかけ、
幼虫に食べさせたところ、全体の半分が死に、残りも仮死状態になってしまったというものだ。
遺伝子組み換えに対する懸念が一気に高まった。

▼アメリカで遺伝子組み換え食品への反対が少ない理由

 このように、遺伝子組み換え食品をめぐって、アメリカとヨーロッパの間に温度差がある理由は、いくつかあるようだ。
一つは、ヨーロッパではここ数年、狂牛病や家畜飼料へのダイオキシン混入事件など、
食品産業で事故が重なり、人々の不信感が強まったことがある。

 もう一つの理由は、アメリカが世界の農業や食品産業を支配することへの反発である。
イギリスの新聞の見出しに、遺伝子組み換え食品の危険性が大々的に載っているのをみて、
「うちの国には、こういう危険な食品がなくて良かった」とつぶやく、というものだ。

 

実はアメリカの食品の6割には、遺伝子組み換え品が原材料の一部として使われているのだが、
それがアメリカで問題にならないので、アメリカ人の多くは知らないままだ、という落ちである。

▼専門家会議の裏にスポンサー

遺伝子組み換え食品に対する反対運動がヨーロッパで起こり、それがやがて日本などにも伝わり広がってきた。

しかし遺伝子組み換え食品の問題がややこしいのは、この点だ。危険は少ないという研究結果が出ても

それが遺伝子組み換え食品のメーカーがスポンサーとなっている研究だとしたら、

科学的に正しかったとしても、論争上における政治的な価値は下がってしまう。

そして「遺伝子組み換えは危険ではない」という結論が、推進派企業のヒモ付きだったりする一方で、

「危険だ」という結論は、実験手法に欠陥があるとされたりする。

 ここで大切なことは、科学的に難しそうな問題でも、なるべく自分で判断しようとする態度をとることだろう。

中では、科学的な判断をこころがける前に「遺伝子組み換え食品は危険だ」と決めてしまう人が多いようだが、

それは結局、イメージとしての「自然」を売り物にした、新手の商業主義に取り込まれるだけではないか、と思う。

posted by あちゃこ at 08:22| Comment(18) | TrackBack(0) | 遺伝子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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